2011年11月14日月曜日

丸木美術館コンサート報告♪

 もしかしたら寒い雨になると予報された11月の日曜日、奇跡的に晴れ間さえ見える天候に恵まれ、私たちは恒例の丸木美術館演奏会を実現させることができました。
参加メンバー14人、ほか8名という可愛い(可哀想な?)一行でしたが、日暮里駅前に待っていてくれた大型バスと、意外に多くのお見送りの方々に支えられ、すっかりゴージャスな気分になって出発です。
 現地までは1時間半ほどで到着する予定ですが、途中高坂のサービスエリアでランチなどを調達。大遠征ムードが盛り上がってきました。
そうして予定の10時よりわずかに早く、私たちは到着しました。バスを降りて数分歩く美術館までの道には、風船かづらやオナモミ(服にくっ付きバカと呼ばれる)など、普段触れることのない植物があり、田園気分が満喫できました。

 まず入口で美術館の方に挨拶をして、離れの流々庵という建物に向かいました。4間ほどの古い民家ですが、廊下や三和や丸窓もある本格的な日本家屋のつくりに、メンバーたちは、「落ち着く~!」と大満足です。
 靴を脱ぎ、奥の部屋の畳の上に立って練習開始。さすがに、ソプラノ7、メゾ3、アルト4、計14人という歌声は、はじめは不安を感じさせるものでした。しかし、米谷先生のご指導がきめ細かく入ります。いつもの丁寧な歌詞解釈やイメージの説明に加えて、個人の音程音質点検も入り、みなどんどん集中を高めていきました。「たとえ何人でもいつもの合唱隊と同じなんだ。14人でも5人でも質を落とすわけにはいかないのだ。」との米谷先生の言葉をメンバーはしかと受け止め、予定の練習時間が終了する頃には、見違えるようにハーモニーが整いました。
お昼になり、練習会場に座卓を出して、お弁当を食べました。昔の宿坊合宿みたいで、懐かしい感じがしました。

 昼食後、私たちは、館内に入って見学をしました。この美術館のメインは、教科書でもおなじみの『原爆の図』ですが、実物の迫力はただならぬものがありました。初めてのメンバーや小さいメンバーは、しばらく怖がって目をそむけたりもしていましたが、真剣に作品に向き合おうとして説明を読んだりして、展示全体の空気を身体中で受け止めていました。再訪のメンバーは、「絵の中の人々が今年も待っていてくれたのだ」という大村さんの言葉に頷きながら、今年の新しい発見を探したりしていました。
 館内をひとまわりして、最後は一番奥の新館ホールに向かいました。ここがコンサートの会場になります。南京大虐殺やアウシュビッツの図の前に椅子を並べて、1時半の開演を待ちました。
時間になると、お客さんたちがぱらぱらと集まって座ってくれました。

 合唱隊紹介の挨拶に引き続き、まずは、2つの『アヴェマリア』を演奏しました。アルカデルトの第一声の響きは、驚くほど透明で美しく、人数のハンディを感じさせませんでした。カッチーニの荘厳なハーモニーはまさに天上の歌のようでした。
 次の『サウンドオブミュージック』は、伸びやかな響きが会場を満たすようでした。続いては『私のお気に入り』『一人ぼっちの羊飼い』これらはまだそんなに歌い込んでいないはずなのに、難しいリズ ムも息ぴったりにこなせていました。
 『ドレミの歌』は、いつもとひと味違ったクラシックな品の良さを感じさせ、聴いていた方が、「『ドレミの歌』で泣いたのは初めて。」とおっしゃるほどでした。
『エーデルワイス』『さようなら、ごきげんよう』『すべての山に登れ』と、プログラムをどれも美しく歌い切り、米谷先生の挨拶とアンコールの『君をのせて』を〆に幕を閉じました。

 この人数でも責任を持って、合唱隊の音楽をやり遂げたメンバーの自信に輝く表情が印象的でした。
会場の椅子は埋まり切らなかったけれど、私たちの歌を心から楽しみに待っていてくれた数万の魂が、そこには確かに存在しました。「大ホールで何千何万のお客さんに包まれて歌っているようだった。」「前後左右の壁の中からお客さんたちが見つめてくれているのを感じた。」とメンバーは言います。
魂に支えられて実現した奇跡の響きでした。(文責O)

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